結節点と通路・幽霊的志向性/『男一代之改革』青木淳悟
2014年10月18日 01:08
出発はするが、到着はしない。間に別の話題が挟まり、到着もしていないうちに、出発―到着という出来事が知らぬ間に過去のものになっている。このような語りの進み行きは、「ふるさと以外のことは知らない」以降のこ
芥川賞記念 「春の庭」(柴崎友香)感想 (「偽日記」より、日付つき)
2014年07月20日 21:39
2014年6月20日記す 古谷利裕
●柴崎友香「春の庭」(「文學界」6月号)を読んだ。面白かった。最後の方の、姉と弟の場面が、しみじみとよかった。
●『寝ても覚めても』や『ドリ
死ぬわたしと、それとは別のわたし 山下澄人『砂漠ダンス』
2014年07月14日 23:10
すべての人が自分のことを「わたし」と呼ぶ。つまり世界には「わたし」しかいない。これは驚くべきことではないか。このことを考えるとわたしは恐怖で硬直してしまう。 例えば、酒を飲んだ帰りの終電に近い混んだ
関係のなかで関係が考える 津村記久子『とにかくうちに帰ります』
2014年07月14日 22:52
「風景が私のなかで考える」、正確に引用すれば《風景は、私のなかで反射し、人間的になり、自らを思考する》。これはガスケによって書きとめられたセザンヌの言葉だ(『セザンヌ』ガスケ)。私が考えるのではなく
書かれたことと書かせたもの 青木淳悟・論 「四十日と四十夜のメルへン」から「ふるさと以外のことは知らない」まで (冒頭)
2014年07月14日 20:25
1 「四十日と四十夜のメルへン」 「四十日と四十夜のメルへン」の冒頭、主人公は、住んでいるアバートのポストを確認した後、スーパーの買い物袋を手に下げて四階にある自分の部屋まで階段をのぼってゆく。階
デコボコなエピソードの間を移動する 『生きて、語り伝える』ガルシア=マルケス (未収録)
2014年07月14日 00:00
この、恐ろしく雑多にエピソードがびっしりと詰まった、しかも、その密度にかなりムラのある本について、一体どんなことを書けばよいのかと呆然としている。何かしら、まとまったことを言うことなど可能なのだろうか